「ぬ」礼賛(Slight Return)
「ぬ」についてなんですけど。
John Lennonの「Mind Games」というアルバムの邦題が「ヌートピア宣言」となっていて、それがなぜそんな邦題になったのか未だにうかがい知れないところであって、ヌーってなんなのよ、という話では、なく。
先日のこと。知人が昼食中、何かの話の流れで「子供の頃に平仮名の"ぬ"の形が変だな、って思い悩んだ時期があって...」なんてなことを言うので。
わたくし西田も、実は...と。以前私も「ぬ」について強烈に思い悩んだ時期があって、寝てもさめてもぬーぬー言うてたのであったのであった。あ、ちなみにー、「ぬーぬーぬー」ってのはアレですよ、モンティパイソンの、グレアム・チャップマンがスケッチで、アホな人を演じた際のアレです。知りませんよね。はい。
と、はい。言うわけで。わたくし、知人がそんな奇特な発想を持っていたことに大変なシンパシィを憶えまして、思わず「以前私が書いた"ぬ"礼賛文章をば見るといいよ、いや、見て下さい」なんて言ってしまったので、これから以前よそで書いた「ぬ」礼賛という文章を、若干いろうて、お届けしようってなワケ!
では、どうぞ。
ぬ
岡本太郎さんの沖縄文化論を読んでおったところ、その本で沖縄の唄を解説しているページが妙に引っかかった。なんでやろ、と思い何度か見返したところ唄の節々に「ぬ」の文字が絶妙なアクセントとして使われている。これかー、なんて言っておったのがつい最近の話。
それ以来、この全ての緊張感を放棄したような無垢なたたずまいである「ぬ」にヤラレっぱなしである。
ヨーロッパ人がモーリシャス島に初めて入植したとき、彼らの目に映ったドードー鳥はきっとこんなカタチをしてたんじゃないかと思うくらいの無抵抗感。最後のクルッがたまらない。
わぁ、変な生き物がぼくたちを食べているよ。
ぬ
使われている単語にしても、「主(ぬし)」「糠(ぬか)」「沼(ぬま)」「ぬりかべ」「ぬらりひょん」エトセトラエトセトラ。
なんか土の匂いがプンプンする。土俗的で反中央的な印象である。
沼の主が塗っているのは糠ですか。ぬりかべみたいに屹立しておるけど意味なくねえ?ひょひょっ。と、ぬらりひょんの旦那が言ってましたぜ!ぬし!
ぬ
平仮名を一文字ずつGoogleで検索してみた。「ぬ」だけはHIT数が一桁少ない。圧倒的に文字としての立場も弱い。
そもそも一文字で意味をなす用例がないのは(現代語としては)「ぬ」と「ん」だけだそうで、とはいえ古い用例ではあるのである。ある、にはあっても「ぬ」一文字では完了・否定を表すのだと。ない方がいいくらいの扱いである。
ちなみに「ぬ」の元になった漢字は「奴」。もう...
ヤッコさん、奴隷出身なんだってねえ。冬でも冷奴を食わされておるよ。はは、かわいそ。
なんたる冷遇!
ああ、いとおしい!
西田 かん
2008年5月26日 02:25
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